幼なじみの不器用な愛情
~♪
「はい」
『どこにいるんだよ』
「え?家だけど?」
『迎えに行くって言っただろ?』
電話の相手は隆弘だった。
「来なくて大丈夫って言ったでしょ?」
『華。』
華は隆弘との距離をとりたくて隆弘が迎えに来てくれるという申し出を断っていた。それでも隆弘がくるような気がしていた華は予定よりも早く病院から自宅へ戻った。
「ごめんね。ありがとう。もしかして病院に来てくれてた?」
『無茶すんなよ』
「大丈夫だって。お医者さんから驚異的な回復力ってほめられたんだから。」
『一人で帰ったのか?』
「うんん。友達が来てくれたよ?」
本当は一人で帰ってきた。でも隆弘との距離をとるためには必要な嘘だった。
『そっか・・・安静にしろよ?無理すんな?』
「ありがとう。バイト、しばらくよろしくね。」
『そっちは任せろ。』
「ありがとう。じゃあね。友達と一緒だから。」
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