幼なじみの不器用な愛情
「先輩、俺と付き合ってくれませんか?」
その目が血走って見えて華は怖かった。
「急に?デートもしてないのに?私、名前しか知らないのに?」
華が冷静を装って返事をする。
「いいじゃないですか。絶対に幸せにします。先輩じゃないと嫌なんです。」
「・・・私のこと、全然知らないのに?」
つい華は本音を言ってしまった。
慌てて繕う。
「私は君の思っているような性格じゃないと思うの。もっと嫌な女なの。すぐ男の人に捨てられちゃうような人なの。」
「いいです。そんな先輩も好きです。付き合ってください。」
「痛い・・・腕・・・」
華があまりの痛さに顔をゆがめても男子生徒は手を放さない。
「・・・ごめん・・・私君は無理だ・・・」
はっきり言うしかないと華が言葉にすると男子生徒は目を丸くして華の腕をはなした。
そして突然華の頬をたたく。
「へ?」
あまりに突然のことで華が何が起きたのか状況が読めずにいると男子生徒は大きな声で怒鳴った。
「少しくらいかわいいからって調子に乗ってんじゃねーよ!!」
「・・・」
男子生徒は逆上してさらに手をあげようと自分の右手を高く振り上げた。
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