幼なじみの不器用な愛情
「言ったよな。気をつけろって。」
「・・・はい・・・」
「誰にでも連絡先を教えるなって言ったよな。」
「・・・はい・・・」
「危ないって言ったよな」
「・・・はい・・・」
隆弘の声は低い。確実に怒っている。怒りすぎてあきれているパターンだと華にはわかる。
「華」
「ん?」
「俺のこと、嫌いか?」
華は慌てて首を横に振る。
「ならなんで避ける?」
「・・・」
「どうして俺の言うこと聞いてくれないんだよ。」
華は隆弘の悲しそうな顔を見るのははじめてだった。
いつもは隆弘は表情に自分の感情をあまり表さない。
その隆弘があまりに悲しそうな顔をしていて華は心がずきんと痛んだ。
「ごめんなさい・・・」
華は謝ることしかできなかった。
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