幼なじみの不器用な愛情
「華ちゃん、無理しないでね?」
「はい。ありがとうございます。ご迷惑おかけしました。」
華がみんなに向かって頭を下げる。
「いいんだよ。お互い様だろ?」
店長がそう言って華の頭を撫でた。
「店長、それセクハラですよ?」
「そっか?いいんだよ。華ちゃんはかわいいからさ~」
「キモイ、店長。」
そんなやり取りの中心で笑っている華。
華が笑っているだけで自分の心がこんなにも満たされるのかと隆弘は感じていた。
「華ちゃんは就職活動してるの?」
「まだです。」
華は苦笑いする。
「教員試験は?受けないの?」
「私は学校の先生志望ではないので・・・」
「じゃあこのカフェのスタッフになる?俺は大歓迎だよ?」
店長の言葉に華は「考えときます」と答え笑った。

自分と華の少し先の未来すら見えない今に隆弘はもどかしさを感じた。
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