幼なじみの不器用な愛情
「今度から私のこと送らなくていいから」
「え?」
華の言葉に隆弘の時間がまるで止まったようだった。
「私ね、高橋君と付き合うことになったから。」
高橋・・・?
「・・・」
「だから送らなくていいの。いつもありがとうね。」

結局隆弘はうまく返事ができないままに華と別れ自分の家に帰った。
自分の部屋のベッドに横たわり天井を見る。

高橋はよく知っている。大学で一緒のバスケ部だった。隆弘の友達だ。
この前の新一年生の男子生徒が華に手をあげた時にも一緒にいた。
前から華のことをよく話題に出していた。
悪い奴じゃない。
今までの華の相手は隆弘もよく知らない男ばかりだったが高橋はよく知っている。
確か4人兄弟の長男で面倒見もいい。バスケもうまい・・・。確かつい最近まで彼女がいたけど別れたって言ってた。年上の彼女で浮気されたって落ち込んでいた高橋を慰めた記憶が新しい。
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