いつも、ずっと。
明日美が外泊と知ってて、隣の生田家へ。

おばちゃんが玄関先で驚いて言った。

「ごめんね今日は明日美おらんとよ。学校でお泊まり……」

「知っとるけん大丈夫。実はおばちゃんとおじちゃんに聞いてほしかことのあっとけど、あがってよか?」

「え!?あ、ああどうぞ。でも珍しかね明日美のおらんとに来るって」

不思議がりながらも部屋に通してくれた。

「あれ?おじちゃんは?」

「いまお風呂に入っとるけん。ちょっと待っとって」

風呂か。

今から夫婦水入らずでくつろぎタイムって感じなのに、突然押し掛けて悪かったかな。

でも今夜しかチャンスはない。

「お、友也やっか。こがん時間にどうした?明日美なら今日は帰って来んぞ」

「お邪魔してます。ちょっと相談したかことのあって……。明日美には絶対内緒にするって約束してほしかとけど。おじちゃんもおばちゃんも……。よかですか?」

二人とも顔を見合わせて目だけで会話してたようだ。

「わかった約束する。もちろん明日美のことやろう?」

「実は俺、明日美と付き合いたいと思ってます。ただ……」

これからが大事なところだ。

「ただ?」

「本気の交際とはちょっと違うっていうか……。あ、いや、俺は本気けど。付き合う『フリ』っていうか……」

どういう風に話すか一応考えてきたつもりだったけど、いざとなると上手く言えない。

やっぱ緊張するよな。

それでも俺の話を黙って聞いてくれてる二人のために、誠意を見せないと。

「世間一般には"彼氏彼女"と認識されたいんですけど、お互いの両親には『フリ』だって本当のことを言うべきだと思いました。でも明日美は、おばちゃんとおじちゃんにも『フリ』じゃなく本当に付き合っとることにしたかって……。それで明日美には内緒でお二人に打ち明けに来ました。このことはくれぐれも明日美には言わんでください。そして明日美から俺と『付き合う』って報告受けてもあんまり深く突っ込まんでやってください。お願いします……」

俺の言いたいことを全部一気に吐き出した。

まさかこんなことを言われるなんて思ってもみなかっただろう。

さあ、何を言われるのか……。

「どうして『フリ』かな。明日美と本気で付き合えんとはなんで?『フリ』とかやぐらしかことせんで堂々と付き合えばよかたい。なんか問題でもあっとね」

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