いつも、ずっと。
「じゃあ……。出張はいつまでの予定?」



なるべく早く帰ってきてほしいけど、そうもいかないのか。

せっかくプロポーズを受けてくれたのに、離ればなれではどうしようもない。



「それは月曜日の会議で正式に決まるらしか。小野さんの話では、瀬名くんの復帰が思ったより早かけん交代の時期も早められるかもしれんって。最初の予定では一年くらいとか……」



い、一年!

一年も遠恋なんて我慢できるか?



「マジか!でも俺はもう我慢するとは嫌やけん、明日美が出張終えて帰ってきたら直ぐにでも入籍しようで。勿論結婚式の準備もしていかんばな。忙しくなるやろうけど、俺に着いてきてくれるよな?明日美」



「うん。一緒に歩いていくって決めたけん。ねえ、今って私の立場なんかな?友也の彼女でよかと?偽者じゃなくて、正真正銘の彼女!」



返事をしようとしたけど、胸が詰まって上手く言葉が出てこない。

仕方がないから黙って明日美を抱き締める。

俺の彼女は明日美しかおらん。

その事実を刻み付けるように明日美を抱く腕に力を込めた。



「俺も、もう偽者彼氏じゃなか。明日美の彼氏は俺以外おるわけなかし」



しばらく抱き合ったままで幸せを噛み締めていた。

だけど満ち足りた気持ちと裏腹に、更なる欲望がじわじわと沸き上がってくる。



明日美の体を包み込んでいた腕を緩め、優しく背中を擦った手を華奢な肩に移動させた。



「友也…………」



期待に潤んだ目で俺を見つめてくる明日美が可愛くてたまらない。

今までだってずっと明日美は可愛かったけど、今日はいつも以上に可愛くて可愛くて仕方がない。

きっと俺だけにしか分からない、欲情の炎を密かに灯した熱い瞳。

早く触れてほしいと言わんばかりに半開きになって俺を誘う唇。

頬には赤みが差し、この先に訪れるであろう喜びを今か今かと待ちわびているようだ。



「明日美、目ば閉じて」



瞬きも忘れたように俺の目を見つめていた瞳が、スローモーションのようにゆっくりと閉じられた。



もう何度もしてるのに。

まるでファーストキスみたいな雰囲気だ。



直ぐにでも触れたいのに、このドキドキをもう少し味わいたいような矛盾した気持ち。

俺はいつだって矛盾だらけなのかもな。

そんな俺を好きだと言ってくれた明日美と一緒に幸せになろう。



その唇に愛を誓って……。



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