いつも、ずっと。
高校を卒業し俺は大学生に、明日美は社会人になった。

俺と明日美の"契約"は無期限で延長することができた。

本当は卒業するときに延長を願い出るつもりだったが、前倒しでクリスマスデートの日に伝えてしまったのは……。

『"偽者彼氏"なんか要らんって思っとるとか……』

『まさか!"偽者"でもなんでも、友也が私の彼氏でいてくれて嬉しかって思っとる。要らんとか思うわけなかやろ?』

明日美がポロっと溢した『偽者彼氏』って言葉に反応してしまったから。

なるべく『フリ』だと感じさせないようにしてきたつもりだったけど、明日美にとっては偽りの関係に少なからず不満を持ってるんだな。

悪いな明日美……。

だけど俺はこの偽りの関係をやめるつもりはないんだ。

偽りだと知っているのは、俺たち二人とお互いの両親だけ。

他の奴らには正真正銘の"カレカノ"だと認識されている。

そうでないと可愛い明日美にはすぐに男が言い寄ってくるに違いない。

俺という彼氏の存在を示しておけば、変な輩を排除することができる。

社会人になり会社勤めともなると、女子高とは訳が違うんだし。

明日美が俺以外の男に惚れるなんてことはないだろうけども、社会人と学生ではあまりにも環境が違いすぎるから、正直不安を拭いきれない。

俺も早く社会人になって、明日美をしっかり守れる男になりたい。



社会人になる前に、大人になる一区切りといえば……成人式。

明日美と一緒に行きたかったけど、野郎は野郎だけで行くことになってしまった。

女子とはどうせ会場で会うだろうからってことで。

「俺さぁ、やっぱり真実ともう一度ちゃんと付き合いたか。式ではちょっとアレやけん、同窓会のときにでも言う!」

「良彦、あんまりしつこくしたら嫌われるかもしれんぞ。京子から聞いたけど真実は『町田くんとは友達以上恋人未満かな』って言いよったらしかし。今の関係で満足しとるとじゃなかか?」

涼介の忠告に対して言い返す良彦。

「俺が嫌っさ。もう成人式ばい?大人やろ俺たちも。どっちつかずのいい加減な付き合いばズルズル続けるとは男としてどうかと思うし。ケジメつけたかけどまだプロポーズには早かし。っていうか涼介!堂々と『真実』って呼び捨てにすっとやめろよ」

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