いつも、ずっと。
式が終わって会場から出ようとすると、周りは人混みでごった返している。
慣れない着物で身動きがとれないでいる明日美の手をガッチリと掴み、人の波を掻き分けてぐいぐい前に進む。
「明日美、はぐれんごと手ば離すなよ」
もっと明日美の艶姿を眺め尽くしたいのに、この状態では無理だ。
とにかく今は人混みから抜け出すのが先決。
なかなか思うように前へ進めずにイラつく。
窮屈な思いをしてるだろう明日美を早く楽にしてやりたいのに。
必死で先を急ぐ俺の背後から、不意に聞こえたのは明日美のはにかんだような声。
「今日の友也、いつもよりも大人びてて……カッコいい」
思わず歩みを止めて明日美を振り返る。
ちょっと恥ずかしげな顔を見ると……何も言えなかった。
ダメだ調子狂う。
いつもの余裕綽々な俺はどこに行った?
そうだ、周りに人が多すぎるせいでいつものペースを取り戻せないんだきっと。
この状態で何か言うのは諦めて、再び前へ進む。
しかし、みんなと合流する前にどうしても二人きりになりたい。
明日美と、二人だけに。
「明日美、ちょっと寄り道」
階段を下りる前に……。
脇道に逃げ込んだ。
「友也、トイレじゃなかったと?」
「は?誰がそがんこと言うた。よかけんちょっと来て」
廊下の突き当たりにあるドアから階段室へ。
こんな奥まったひっそりした場所には誰も来ないはずだ。
やっと二人きりになれた。
改めてマシマジと見つめてみても、今日の明日美はいつも以上に綺麗だし眩しすぎる。
こんな艶姿を俺以外の野郎どもには見せたくない。
同窓会には着替えて行くと聞いてホッとした。
着物が着崩れしないように優しく抱き寄せたり、うなじや髪の毛を思う存分触らせてもらったり、艶々でプルプルの唇に……キスしたり。
俺にとっては明日美しか要らないし、明日美にとっても俺しかいない。
そういう約束をこっそり交わす。
俺は明日美以外の女に触れたりなんかしない。
明日美の艶やかな唇に誓って。
触れるだけのキスで正直言って物足りなかったけど……。
こんなところでディープキスなんてできるわけがない。
それはまた場所を改めて、仕切り直しだ。
「ふっ、ふふふふ。友也、キラキラしちゃってるよ?」
「マジか!?やべーな」
明日美の唇のキラキラが、俺の唇に付いてしまったようだ。
さすがにキラキラしたままじゃマズイ。
本当は取りたくないけど仕方なく手の甲で唇を拭う。
「まだ……残ってるよ。ほらここに」
明日美が背伸びしたかと思うと、俺の唇の右端辺りをペロッと舐めた。
おい!不意討ちなんて反則だろ。
咄嗟のことで上手く反応できない。
だいたい、端っこの方はわざと拭わなかったんだ。
ちょっとくらい残しといたっていいだろ?
明日美の痕跡を。
俺がそんなことを考えてるなんて知らないだろう明日美は、さっき俺の手の甲で拭ったキラキラをハンカチで拭いてくれた。
これも拭かなくても良かったんだけどな。
「これでOK」
「おおサンキュー。じゃ、行くぞ」
満足げな明日美の笑顔が可愛すぎて、俺まで釣られて笑顔になる。
再び手を繋ぎ、階段室から出てロビーへと向かった。
しかし、いいのか?明日美。
お前がその口の中に隠してしまった舌で舐め取ったのは、右端のキラキラだけ。
左端にもまだ付いているんじゃないのか?
明日美の唇から俺が奪ったキラキラが。
そうか、さっきの満足げな笑顔は……。
絡ませた指にちょっとだけ力を込めて、明日美の手を握り直した。
慣れない着物で身動きがとれないでいる明日美の手をガッチリと掴み、人の波を掻き分けてぐいぐい前に進む。
「明日美、はぐれんごと手ば離すなよ」
もっと明日美の艶姿を眺め尽くしたいのに、この状態では無理だ。
とにかく今は人混みから抜け出すのが先決。
なかなか思うように前へ進めずにイラつく。
窮屈な思いをしてるだろう明日美を早く楽にしてやりたいのに。
必死で先を急ぐ俺の背後から、不意に聞こえたのは明日美のはにかんだような声。
「今日の友也、いつもよりも大人びてて……カッコいい」
思わず歩みを止めて明日美を振り返る。
ちょっと恥ずかしげな顔を見ると……何も言えなかった。
ダメだ調子狂う。
いつもの余裕綽々な俺はどこに行った?
そうだ、周りに人が多すぎるせいでいつものペースを取り戻せないんだきっと。
この状態で何か言うのは諦めて、再び前へ進む。
しかし、みんなと合流する前にどうしても二人きりになりたい。
明日美と、二人だけに。
「明日美、ちょっと寄り道」
階段を下りる前に……。
脇道に逃げ込んだ。
「友也、トイレじゃなかったと?」
「は?誰がそがんこと言うた。よかけんちょっと来て」
廊下の突き当たりにあるドアから階段室へ。
こんな奥まったひっそりした場所には誰も来ないはずだ。
やっと二人きりになれた。
改めてマシマジと見つめてみても、今日の明日美はいつも以上に綺麗だし眩しすぎる。
こんな艶姿を俺以外の野郎どもには見せたくない。
同窓会には着替えて行くと聞いてホッとした。
着物が着崩れしないように優しく抱き寄せたり、うなじや髪の毛を思う存分触らせてもらったり、艶々でプルプルの唇に……キスしたり。
俺にとっては明日美しか要らないし、明日美にとっても俺しかいない。
そういう約束をこっそり交わす。
俺は明日美以外の女に触れたりなんかしない。
明日美の艶やかな唇に誓って。
触れるだけのキスで正直言って物足りなかったけど……。
こんなところでディープキスなんてできるわけがない。
それはまた場所を改めて、仕切り直しだ。
「ふっ、ふふふふ。友也、キラキラしちゃってるよ?」
「マジか!?やべーな」
明日美の唇のキラキラが、俺の唇に付いてしまったようだ。
さすがにキラキラしたままじゃマズイ。
本当は取りたくないけど仕方なく手の甲で唇を拭う。
「まだ……残ってるよ。ほらここに」
明日美が背伸びしたかと思うと、俺の唇の右端辺りをペロッと舐めた。
おい!不意討ちなんて反則だろ。
咄嗟のことで上手く反応できない。
だいたい、端っこの方はわざと拭わなかったんだ。
ちょっとくらい残しといたっていいだろ?
明日美の痕跡を。
俺がそんなことを考えてるなんて知らないだろう明日美は、さっき俺の手の甲で拭ったキラキラをハンカチで拭いてくれた。
これも拭かなくても良かったんだけどな。
「これでOK」
「おおサンキュー。じゃ、行くぞ」
満足げな明日美の笑顔が可愛すぎて、俺まで釣られて笑顔になる。
再び手を繋ぎ、階段室から出てロビーへと向かった。
しかし、いいのか?明日美。
お前がその口の中に隠してしまった舌で舐め取ったのは、右端のキラキラだけ。
左端にもまだ付いているんじゃないのか?
明日美の唇から俺が奪ったキラキラが。
そうか、さっきの満足げな笑顔は……。
絡ませた指にちょっとだけ力を込めて、明日美の手を握り直した。