いつも、ずっと。
成人式のあった夜。

同窓会に遅れて参加すべく、会場に着く前に明日美に電話した。

「いまバスば降りたとこ。こっから近かごたるけん、店の前まで出て来とってくれんか?明日美」

『よかよ。待っとくけん』

なんでわざわざ店の外に呼び出したのかというと、みんなに俺と明日美が付き合ってるってことを分かりやすく見せつけるためだ。

中学の同級生と滅多に会う事もなくなったけど、今日はまたとないチャンスだからな。

俺と明日美の関係が周知されれば俺も安心だし、明日美だってきっとそのほうが嬉しいはずだ。

明日美の姿が見えたから手を振ったけど、明日美はこっちを見てなかった。

近づいてみると携帯の画面を見ながらニヤニヤしている。

これからのことを考えると俺もニヤニヤしそうになるけど、我慢して明日美の手を自然に取り、会場へと向かう。

「遅うなってごめん」

注目されているのは俺が遅れて参加したからってだけではなさそうだ。

みんなの視線が繋がれた手に注がれてるのを感じる。

「御子柴と生田ってやっぱりそういう関係やったとか!お前らあん時から実は隠れて付き合いよったとじゃなかとか?」

"あん時"って、中学の時からって言いたいんだろ。

明日美には好きな奴がいるとかデマを流したことを指摘された。

「……さあ?俺そがんこと言うた覚えなかけど」

ここは知らぬ存ぜぬで切り抜けるしかない。

まさか明日美に男を近付けないためだったなんて言える訳がない。

「じゃあ今真相ば確かめようで!なあ生田、お前中学の時誰か好きな奴おったとか?白状しろよ!」

なんだって!?

明日美が今この場所でそんなこと言える訳がないだろ!

みんなが面白がって明日美をからかうのを黙って見てるわけにはいかない。

「あーもう、うっさかお前ら!!昔のことはどうでもよかやろ?今は俺が明日美の彼氏ぞ。だけん誰も俺の明日美に手ば出すなよ!」

言ってやった。

堂々とみんなの前で宣言してやった。

『今は俺が明日美の彼氏ぞ』

『俺の明日美に手ば出すなよ』

これを言うことが出来たから、もう俺は満足だ。

あとはせっかく久しぶりにみんなと会えたんだし、同窓会を楽しむとしよう。

繋いだ手はもちろんそのままで。

明日は朝早くから明日美と誕生日デートの予定だし、二次会へは行くつもりないから。

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