いつも、ずっと。
夕方になり少しずつ薄暗くなってくると、街に明かりが灯り始めた。

これからはイルミネーションが輝く時間なんだろう。

俺的には初めてのハウステンボスを明日美と楽しむのは勿論だけど、夜のイルミネーションこそが今日のメインイベントだと考えていた。

これが光の王国か。

周りが暗くなってくるにつれて、光が鮮やかさを増していく。

色とりどりにライトアップされた街並みに、感嘆のため息が漏れる。

「うわー!きれかね友也!!えっと、何時まで見られるとやったっけ?」

「九時五十三分発の電車に間に合えばよかけん、そうなぁ……九時二十分くらいまでにしとくか。あと三時間ちょっとばい」

まだまだ焦らなくても時間はあるけど、園内は広いから全部のイルミネーションを見て回ることは無理だろう。

それにロマンチックなムードも大事にしたいから、ゆっくりと幻想的な雰囲気を楽しみたい。

「ねえ、観覧車は最後にせん?それまでに行きたいとこば見て回ろうよ!友也が見たかとはどれ?」

俺が見たいのは明日美が見たいもの。

明日美がいろんな物に感動したり、胸いっぱいに幸せを感じてくれたらそれでいい。

夜になりすっかり暗くなると、ライトアップされた街並みはいっそう明るくなった。

明日美の目もイルミネーションに負けないくらいにキラキラと輝いている。

そんな明日美を見つめる俺の目も輝いているんじゃないだろうか?

「ここに来てからすぐに乗ったけど、そん時とはまた違うね!なんか別の世界に来たごたるねー」

今日二回目のカナルクルーザーから見る景色も、運河から上がる噴水も、すごく綺麗だと思う。

だけどそれよりも何よりも、そんな綺麗な光の王国に感動してうっとりしている明日美を見られたのが一番嬉しかった。

誕生日のデートプラン、大成功といっても良いよな?

「うはー!!すごかね!!こがん綺麗なイルミネーションば友也と見られるなんて。今日は最高の誕生日ばい。はぁ~ハウステンボスって本当にロマンチック。連れてきてくれてありがとう……」

『ありがとう』と言いたいのは俺の方だ。

照れ臭くて今すぐには言えないけど。

「そうか?明日美が喜んでくれたなら俺も嬉しかばい。でもそろそろ……ラスト行っとくか」

一番最後に取っておいたお楽しみ。

明日美が乗りたがっていた観覧車へと向かう。

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