いつも、ずっと。
「明日美、明日美っ……」

どこにも行かせない。

俺のそばにいてくれ。

告げられない『好き』の想いを込めて力強く抱き締める。

それだけじゃ足りなくて、さっきのお返しとばかりに明日美の唇を奪った。

明日美がくれたキスは優しく触れてきただけだったけど、もっと深く交わりたくてたまらない。

明日美の反応を確かめるように舌で唇をなぞってみると、遠慮がちに口を開いてきた。

その瞬間を逃さず、舌でこじ開けるように明日美の中に侵入した。

明日美の口内を丹念に舐め回し、舌を追いかけ絡ませる。

最初の頃はなすがままにされていた明日美だけど、だんだん慣らされてきたのか積極的になってきたなと感じる。

明日美からも俺を求めてくれてるようで嬉しい。

このままずっと……なんて夢心地に浸ってしまいそうになる心を叱りつけ、現実へ引き戻る。

はぁはぁはぁ。

いつもの余裕はどこへいった。

息が絶え絶えになり、呼吸が苦しい。

酒なんて……飲んでもちっともいいことない。

「明日美どこにも行くな。もう、俺から離れんで」

お前と離れ離れになるなんて、考えただけで気が狂いそうになる。

例え夢だとしても。

「俺は、お前だけだ。ずっとこのままこれからも、離れんって約束してくれ」

ダメだ、明日美が愛しすぎて堪らない。

せっかく現実に戻ろうとしてたのに、また夢の世界へ引き摺り込まれてしまう。

「明日美……俺は……」

もう、想いが溢れ出てきそうだ。

なんとか『明日美が好きだ』と言いたい気持ちを抑え込む。

自分自身を制御するのに苦心するのも、飲み過ぎが原因なのか。

ヤバイな、俺にもウイークポイントがあったなんて。

言葉を発しようとするとNGワードが口をついて出そうで、誤魔化すために自分の唇で明日美の耳たぶを弄ぶ。

「あっ……んふぅ……」

明日美の奴め。

可愛らしい声を漏らすなんて、もっと聴きたくなってしまうのに。もう、今度こそ止まれなくなってしまう……。

ずっと抱き締めたままだった腕の拘束を解き、体を起こして明日美をベッドに押さえつけた。

いいのか?

本当にこのまま突っ走っていいのか!?

明日美だってきっと望んでる。

俺ともっと深い仲になりたいと。

俺だって勿論そうだ。

成人式を迎え、お互い二十歳だし大人だと認められる歳になった。

だけど、自分の信念は?

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