いつも、ずっと。
3
早く社会人になりたいと思っていた。
立派な大人になって自分の夢を叶えたいと。
大学を卒業し小学校の教師となって、やっと夢の一つを叶えることが出来た。
しかし、もう一つの夢はまだ叶えられていない。
教職についてもうすぐ四年。
頑張って貯金に励んでいるが、目標金額はまだ足らず、今年こそは何が何でも達成してやろうと思っている。
そう、もう一つの俺の夢は、明日美と結婚すること。
"偽者"の関係を続けて約十年半。
二十歳の誕生日に危うく明日美と一線を越えるかどうかって瀬戸際に立たされたが、ギリギリのところで回避することが出来た。
あれから六年の月日が流れたが、俺たちはまだ清い交際を続けている。
ケンカをする事もなく、世間ではきっと仲の良いカップルだと認識されているはずだ。
明日美が可愛いのは昔からだけど、ずっと明日美だけを見つめてきた俺だから分かる変化がある。
勿体ないからそんなことは誰にも教えられない。
自分の心に留めておいて、昔の明日美を思い出して楽しんでいる。
そんな俺だけの明日美が、俺の知らない男と過ごしている時間があるのかと思うと気が気じゃない。
そんなある日。
平日の夜に珍しく明日美が俺の部屋にやって来た。
「未来から東京のお土産もらったけん、一緒に食べよう」
明日美が好きな"東京ばな奈"のお菓子。
青柳さんが東京へ田代先輩に会いに行ったときは必ずお土産として買ってきてくれるらしい。
そしていつも『一緒に食べよう』と持ってきてくれる。
青柳さんにお土産のお礼を言っておいてくれと頼んだら、そのうち会う機会があるかもって……。
「今度ね、ダブルデート…………してくれん?」
「ダブルデート!?なんでまた……唐突やな。え、っていうことは先輩が長崎に帰って来っとか?」
青柳さんは田代先輩と遠距離恋愛中だ。
先輩は仕事が忙しいらしく、滅多に長崎に帰ってくることはない。
だから青柳さんが東京に会いに行くんだろうけど、もしかしたら青柳さんにだけは会いに帰って来ることもあるのかもしれない。
「ううん……。そうじゃなかとけど」
「えっ、じゃあなんでダブルデート!?意味の分からんとけど」
何がしたいんだ。
田代先輩もたまに訳が分からない時があるけど、青柳さんもそうなのか。
似た者同士なのかも知れないな。
立派な大人になって自分の夢を叶えたいと。
大学を卒業し小学校の教師となって、やっと夢の一つを叶えることが出来た。
しかし、もう一つの夢はまだ叶えられていない。
教職についてもうすぐ四年。
頑張って貯金に励んでいるが、目標金額はまだ足らず、今年こそは何が何でも達成してやろうと思っている。
そう、もう一つの俺の夢は、明日美と結婚すること。
"偽者"の関係を続けて約十年半。
二十歳の誕生日に危うく明日美と一線を越えるかどうかって瀬戸際に立たされたが、ギリギリのところで回避することが出来た。
あれから六年の月日が流れたが、俺たちはまだ清い交際を続けている。
ケンカをする事もなく、世間ではきっと仲の良いカップルだと認識されているはずだ。
明日美が可愛いのは昔からだけど、ずっと明日美だけを見つめてきた俺だから分かる変化がある。
勿体ないからそんなことは誰にも教えられない。
自分の心に留めておいて、昔の明日美を思い出して楽しんでいる。
そんな俺だけの明日美が、俺の知らない男と過ごしている時間があるのかと思うと気が気じゃない。
そんなある日。
平日の夜に珍しく明日美が俺の部屋にやって来た。
「未来から東京のお土産もらったけん、一緒に食べよう」
明日美が好きな"東京ばな奈"のお菓子。
青柳さんが東京へ田代先輩に会いに行ったときは必ずお土産として買ってきてくれるらしい。
そしていつも『一緒に食べよう』と持ってきてくれる。
青柳さんにお土産のお礼を言っておいてくれと頼んだら、そのうち会う機会があるかもって……。
「今度ね、ダブルデート…………してくれん?」
「ダブルデート!?なんでまた……唐突やな。え、っていうことは先輩が長崎に帰って来っとか?」
青柳さんは田代先輩と遠距離恋愛中だ。
先輩は仕事が忙しいらしく、滅多に長崎に帰ってくることはない。
だから青柳さんが東京に会いに行くんだろうけど、もしかしたら青柳さんにだけは会いに帰って来ることもあるのかもしれない。
「ううん……。そうじゃなかとけど」
「えっ、じゃあなんでダブルデート!?意味の分からんとけど」
何がしたいんだ。
田代先輩もたまに訳が分からない時があるけど、青柳さんもそうなのか。
似た者同士なのかも知れないな。