いつも、ずっと。
あれから少し経って、瀬名からSMSが来た。

『生田からダブルデートに誘われた。生田の友達が俺に会いたいとか?お前も俺と話してみたいとか言ったらしいな?俺と会ったこと生田に言ってないんだろ』

俺と瀬名は携帯の番号を交換しただけで、メールアドレスは交換していない。

それなら電話かければいいだろうに、わざわざSMSなんて。

俺も別に声が聞きたいわけでもないし、いいけど。

『言ってねえよ』

ただ一言返す。

『言わない方がいいんだな?了解。じゃあ会うときは、初めましてでいいのか。分かってるだろうけど、唯子のこともシークレットで頼む。俺多分そのうち福』

途中で切れてる。

SMSは文字数が限られてるからな。

瀬名は元カノのことが今でも好きらしいから、青柳さんと会ったとしても心配はないだろう。

ただ、青柳さんが田代先輩の彼女であることだけはちゃんと知らせる必要がある。

青柳さんと瀬名がデートだなんて、先輩に知られたりでもしたら……。

瀬名が昔の誤解を解こうと努力したところで、無駄になってしまう。

もう二度と仲直りなんて無理だろうからな。

そんなこと、させられない。

『ダブルデートじゃなく花見。青柳さんはただの同僚の友達だ。恋愛感情は必要ない。ちなみに青柳さんは明日美の親友であると同時に田代先輩のたいせつな』彼女だからな。

これでよし。

『たいせつな何だ?大事なとこで切れてるぞ。それと、てっちゃんとの会合のセッティングの方はどうなってる?ちゃんと連絡してくれているんだろうな!俺』

あーうっせーなぁ。

いい加減にしてくれ。

『そんくらい自分で考えやがれ。もう返してくんな』

面倒になって電源切ってやった。

青柳さんにも話しておいた方がいいか?

田代先輩と瀬名の昔の因縁について。

しかしこの問題は俺には直接関係のないことだし、俺の一存で勝手に話す訳には……。

まあ、ダブルデートの展開によっては話す必要が出てくるかもしれないが。

ああそう言えば、セッティングの話はまったく進んでなかったな。

田代先輩にいつ帰ってくるのかというご機嫌伺いのメールはしたけど、まだ分からないという返事が来ただけだ。

事前に瀬名の名前を出すよりも、帰ってきた時に会う約束を取り付けて、そこに瀬名を呼んだ方がいいような気がする。

上手く運ぶかな……。

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