いつも、ずっと。
そして、やって来たダブルデート当日。

「初めて……じゃなかよな。明日美の彼氏の御子柴友也です。いつも会社で明日美がお世話になってます。よろしくな、瀬名くん」

「試合とかで何回か会ったことあるよな。けど喋ったことなかったし、どうぞよろしく。同い年やしタメ口でよかろ?だけん俺のことは"瀬名"でも"圭司"でも好きにどうぞ。な、御子柴」

なんかちょっと意識してぎこちなくなったけど、仕方ない。

あのSMSでのやり取りで、結局肝心なことが瀬名に伝わったかどうか自信がないから、そこがちょっと気がかりだ。

二人だけで話せるチャンスがあればいいけど……。

例えば瀬名がトイレに行くとか言い出せば、俺も一緒に……って。

かえって怪しまれるか?

そんなことを考えていたら、チャンスは意外と早い段階でやってきた。

「せっかくココウォークに来たけん観覧車乗らん?」

青柳さんが観覧車に乗りたがっている。

しかし瀬名があっさりパスした。

普通は一緒に乗ってやるもんじゃねえのか!?

なんて言いたいとこだが、今日だけはグッジョブと言ってやろう。

当然俺もパスだ。

結局、女二人だけで乗ることに。

「なあ、御子柴。もしかして未来ちゃんって……てっちゃんの彼女とかじゃなかやろうな?」

「そうけど」

「はあっ!?じゃあなんで俺に会いたかとか……。意味の分からんとけど。未来ちゃんまさか俺とてっちゃんの関係ば知っとる?」

「知らんやろ。だけんそいば言うわけにはいかん。ただ気がかりのあって……」

青柳さんが今日のダブルデートのことを田代先輩に話すかもしれんとか言っていたことを瀬名に教えてやった。

「マジか!?そいはマズかやろ!てっちゃんはまだ俺が裏切ったと思い込んどるとに、未来ちゃんまで。更に誤解ば生む。俺、帰ろうかな」

「待て、今更逃げるなって。青柳さんが何ば企んどるとかよう分からんけど、先輩とのことで悩みのあるごたるし。俺がなんとか探りば入れてみようと思うとる」

なんかややこしいことになりそうだな。

上手くやれればいいけど。

「じゃ、俺はなんも知らんフリでよかとな?でも探りば入れるって。生田はどうすっとか。生田ば差し置いて未来ちゃんと話すとか無理じゃね?」

そこなんだよな。

俺だって明日美に誤解されるような真似はしたくない。

「俺も協力するけど……じゃあさ」


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