いつも、ずっと。
「俺も詳しくは知らんとけど、瀬名と田代先輩は知り合いらしか。そもそも、何でダブルデート?作戦なら他にいくらでもあるやろうに」



「そいは……このダブルデートは私だけのためじゃなかけん。私も御子柴くんに聞きたかことのあるって言うたやろ?」



そうだった。

忘れるところだったけど、この状況を作ったのは青柳さんと明日美の方だった。



「明日美のこと本当に好きなの!?明日美から聞いたよ、御子柴くんと……まだだって」



…………は!?

まだって、もちろんアレのことを言ってるんだよな。



「私、明日美から聞いたとき勘違いして明日美が御子柴くんのこと待たせとるって思うたけど、逆やったとね。普通好きならしたかって思うやろ?お互い好きで付き合いよるとに。なんで?」



「まさか青柳さんから突っ込まるっとは思わんかった。言うとくけど、明日美はなんも悪うなかけん。俺の信念っていうか、ポリシーっていうか」



「ポリシー?何ば言いたかとかよう分からん。もうちょっと分かるように説明してくれんかな」



そんな説明する必要あるのか。

どうも納得いかないけれど、下手な嘘で誤魔化す訳にはいかないような気がした。



「俺だって男やし、好きな女に触れたかと思う。人並みに欲望もある。けど、それ以上に大事にしてやりたい。明日美のこと守ってやりたかと思っとる。ずっと昔から決めとるけん……。俺が明日美に告白するとはプロポーズする時。結婚するまでは明日美の純潔ば守り抜いてやる」



「えっ…………」



青柳さんは俺の人生プランを聞いて、心底驚いたようだ。



「ひとつ約束してほしかとけど、このことは明日美には内緒にしとって」



本当はこんなこと言いたくなんかなかったんだ。

しかし、どうして明日美を抱かないのかと問い詰められ、自分でも気づかないくらいに動揺してしまっていたらしい。

冷静なフリをするのも結構しんどい……。



「ねぇ、ちょっと聞いてよかかな。告白するとはプロポーズの時って……。付き合いよるとに」



しまった。

そこの矛盾を失念していた。



「…………実は俺たち、付き合ってるフリなんだ。だからお互い『好き』って気持ちの確認はしとらん」



もうボロボロだ。

俺たちの秘密、暴露しまくり。

田代先輩と瀬名の因縁については言わずに済みそうなのに。

そっちに気を取られ過ぎてたな。

俺としたことが。



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