いつも、ずっと。
「嘘だったんだ、付き合ってるって。なんで付き合ってるフリなんか……。もしかして、私とテツくんが付き合うように仕向けるため?」



「まあ、それもあるかな。それだけじゃなくて他にも理由はあるけど」



「お互い『好き』って気持ちも伝えずに付き合うフリって。どうかしとるばい。けどそれよりも、明日美に嘘つかれとったことが信じられん。親友とに……」



青柳さん、かなりショックうけてるようだ。

あとでフォローできたらいいけど、今の俺にそんな余裕あるか?



「なんか中学に一緒に行けんごとなった時のことば思い出した。あん時は親に反対されたけんで、明日美のせいじゃなかったけど」



中学って、俺は明日美と一緒だったけど。

そういえば、明日美の母ちゃんが俺んちに来た時に変なこと言ってたな。



「中学のことなら、明日美が自分で決めたって聞いたけど」



『明日美は未来ちゃんと一緒の中学がよかって言い出すやろうと思っとったとに。こっちの中学に行くって断言したけん驚いた。そっちが私にとっても好都合ではあるけどね』



俺が聞いた話をそのまんま青柳さんに伝えた。



「嘘やろ…………」



「……青柳さん?」



何かブツブツと呟いているけど、よく聞こえない。

今は声をかけない方がいいような気がして黙って待つことにした。



「……ねぇ、御子柴くん。お願いのあるとけど」



急に何かを思い付いたように、うつ向いていた顔を上げた青柳さん。

この感じ、嫌な予感しかしない。



「なん?」



「御子柴くんと明日美、付き合ってないとよね。そしたら、私と付き合ってよ」



ほらなやっぱり。

なんでそうなるのか、意味が分からない。



「ごめん、そいは無理。確かに付き合っとるフリけど、俺は明日美のこと好きやし。そいに青柳さんは田代先輩の彼女やろ。断る」



こういうことは明確に自分の意思を示さないと。

俺が付き合うのは明日美しか有り得ない。



「勘違いせんで。フリさフリに決まっとるやろ。御子柴くんと明日美みたいに、付き合っとるフリ」



「それって何のため?先輩に俺と付き合うって言うてどがんするつもりか知らんけど。先輩のこともうちょっと信じてやればよかとに」



青柳さんの思考回路ってどうなってんだ。

でもよく考えたら、雲行きが怪しくなってきたのは明日美と俺の関係を暴露してからだよな。



< 42 / 108 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop