いつも、ずっと。
「御子柴くん、協力してくれるとやろ?私が御子柴くんと付き合うって言えば、テツくんも本気で結婚のこと考えてくれるんじゃないかな。明日美にもちょっとくらい仕返ししたかし」



なんかとんでもない作戦を考え出したな。

協力するとは言ったけど、巻き込まれるのは困る。



「そがん作戦上手くいくとは思えんけど。そいに、明日美に仕返しって……」



「明日美はよかね、御子柴くんに大事にされて。中学も私より御子柴くんと一緒でさぞかし楽しかったとやろうね。私なんて……。昔のことば今更言うてもしょうがなかけど、ちょっとくらい意地悪してもいいやろ。それに、御子柴くんはこのままで良かって思うとる?」



何が言いたいんだ。

青柳さんの意図が掴めず困惑する。



「このままじゃ、なんかマズかことでもあるかな。別に問題なかと思うけど」



「だって、御子柴くんと明日美ってずっと近くにおったやろ。このまま付き合っとるフリば続けて、いつかは結婚?お互いの気持ちの確認もしとらんとに。明日美が本当はどがん気持ちでおるとか、分かっとらんくせに」



明日美の、本当の……気持ち。

二人の距離が近すぎるというのか?



「御子柴くんが本気で明日美と結婚したかって思うとなら、一度距離ば置いてみたほうがよかと思う。離れてみてお互いの気持ち、確かめてみたらどうかな。近すぎて見えんごとなっとることのあるんじゃなかと?」



明日美と離れるなんて、そんなこと考えたこともない。



「いや、悪かけど…………」



明日美との無期限の契約を反古にして、青柳さんと付き合うフリなんて出来る訳がない。



「そっか、じゃあ仕方なかよね。瀬名くんと付き合うってことにするしかなか。今から瀬名くんに……」



「おい、ちょっと待てって!」



車を降りそうな素振りを見せた青柳さんを慌てて引き留めた。

それはマズイって。



「じゃあ、御子柴くんが付き合ってくれる?付き合ってくれるとなら、今日瀬名くんと会ったことテツくんには内緒にしとくって約束する」



「そしたら、俺たちが付き合うフリするとして、いつまで……」



あとで誤解を解かなければいけないから、あまり長期間になるのも困る。



「それは、テツくん次第よ。私にちゃんと結婚の意思ば伝えてくれんと安心できん」



ってことは、田代先輩をせっついて早くプロポーズさせる必要があるな。



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