いつも、ずっと。
だけど……。

本当にいいのか?



「なあ、青柳さん。俺やっぱり明日美に嘘つきとうなか。田代先輩ば本気にさせるなら、他に方法あると思うし」



なんとかして回避できないか……。

俺が青柳さんと付き合うだなんて、最悪な裏切りじゃないか。

例えフリだとしても。



「まだそがんこと言いよると!?私は本気やけん、やめるつもりなかけど。御子柴くんが私の作戦に協力してくれんって言うとなら私にも考えのあるけん」



青柳さん、かなりこの作戦に賭けてるっぽいな。

俺が明日美に彼女のフリを頼んだことが一番最初の始まりだったのか。



「御子柴くんはまだ明日美に告ってないってことやろ。明日美も可哀想かね、好きな人から好きって言ってもらえずに。私が明日美に教えてやろうかなぁ?御子柴くんはプロポーズするときまで告白せんし、結婚までは愛を確かめ合うこともなし。婚前交渉はご法度ってこともね」



「おい!俺の人生プランば明日美にバラすつもりか!?ふざけんなよ」



青柳さんに打ち明けてしまったのは俺の失態だが、あの時は上手く言い逃れる方法を見つけられなかった。



「私の頼みば聞いてくれたら言わんよ。約束する」



「こがんやり方好きじゃなかけど…………。そいで明日美たちにはどがん言うと」



さっき青柳さんからの指示で携帯の電源を切らされた。

途中で電話かかってきて話の邪魔をされないようにって。

もしかしたら明日美が俺か青柳さんに電話かけてきてたかも。

今頃ヤキモキしてるんじゃないか。



「電話繋がらんし、そのうち痺れ切らして来るやろ。あ、いつの間にか雨降りよったとね。雨の止んだら戻ってくるんじゃ」



俺も気がつかなかった。

パラパラと静かに降る雨。

あの二人は、どこかで雨宿りしてるのだろうか。



「そうだ、今のうちに……」



明日美たちが戻ってくる前に、俺たちの契約について確認し合った。

俺たちが付き合うということを、明日美に伝えるのは青柳さんの役目。

今後、この契約が完了するまでは、俺から明日美に連絡しない。



「もし明日美から電話かかってきたり、メールきたりしたら?」



「明日美は自分からは連絡せんと思うよ。御子柴くんから連絡くるとば期待して待つんじゃなかかな。私は明日美の性格分かっとるけん。結構意気地無しばい」



本当にそうなのか?

明日美は遠慮しぃなところはあると思うけど。


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