いつも、ずっと。
明日美の親友の、青柳さん。

彼女と田代先輩がくっついてくれたら言う事ないのに。

でもハッキリ言って青柳さんよりも明日美の方が可愛いからな。

田代先輩が明日美の事を「ドストライク」と言ったのも十分頷ける。

これ以上先輩が明日美の事を気に入らないようにするためには、なんとかして青柳さんのことをプッシュしないと。

しかし俺の心配をよそに、先輩と青柳さんはお互い好意を持ったらしくイイ感じに仲良くなっていった。

青柳さんが先輩を気に入ったのか、素敵アピール全開だったし。

先輩も言い寄られて嬉しかったみたいだし。

全く反応を示さない明日美よりも、青柳さんの方が可愛く映ったんだろうな。

思ったより簡単に上手くいって拍子抜けだけど、明日美が先輩にときめかなくて良かったとホッとしている俺。

これで万事上手くいったと思っていたのに…………。

テニス三昧の夏休みを経て、二学期に入ってから予期せぬことでまた頭を悩ますことになった。

「なあ、俺と未来ちゃんって順調に見えるか?」

田代先輩が俺に唐突に聞いてきた。

「誰が見ても仲の良いカップルにしか見えませんけど。なんでですか?」

「そうだよな……。なんがダメとやろな……」

もうとっくに"カレカノ"になっているとばかり思っていたのに、先輩と青柳さんはまだ付き合っていないと聞かされた。

それから田代先輩は青柳さんに会うたび「付き合おう」と言っているらしいけど、なかなかいい返事をもらえないと嘆いていた。

「でも付き合いたくないなら会わないですよね普通。"カレカノ"じゃなくて友達のままがいいってことですか?」

「ソコなんだよな。俺のこと嫌いじゃないらしいし、会うのも嬉しいって言ってくれるし。『今はまだ付き合うのはちょっと……』ってそがん感じさ。俺が思うに、未来ちゃんは生田さんば気にしとるんじゃなかとかな」

「明日美ですか?なんで?」

先輩が言うには、親友の明日美が彼氏を作らないのに、自分だけ先輩と"カレカノ"になるのは悪いと青柳さんは思っているんだろうと。

「御子柴、お前さー好きなんやろ生田さんのこと。さっさと告って付き合えよ!」

「待ってくださいよ!俺にも都合ってもんが……」

俺はまだ明日美と付き合うつもりはない。

明日美にも『高校生のうちは彼女は作らん』と宣言した。

それは明日美も含めてのことだ。

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