いつも、ずっと。
「御子柴先生、風呂行きますか」



「そうですね。あ、電話が……」



俺の携帯の着信音が鳴り出してしまった。

江川先生には先に風呂に行ってもらい、電話に出た。



『もしもし友也?いま電話よかね』



母さんからだった。

わざわざ電話してくるなんて、なんかあったのか。



「今から風呂入るとこやったけど。どがんした?」



『あんた明日は何時に帰ってくっと?なるべく早う帰って来られんね』



「明日?雨の降るかもしれんけん、当日に雨降った場合の想定と対策ば確認して帰ることになりそうけど。なんでそがんこと言うと」



さっき田代先輩からメールが来ていた。

明日こっちに帰るから夕方に召集をかけると。

いよいよ覚悟決めたんだな、先輩。

夕方なら慌てなくていいと思ってたんだけど。



『明日美ちゃんがね、今日うちに来たとよ。友也に会うために』



……………………は?

うちに来ただって?明日美が俺に会いに?



「そっ、それ本当に!?で、明日美なんか言いよった?」



ずっと連絡とってないから明日美が俺のスケジュールを把握しているわけないけど、なんてタイミング悪いんだ。



『明日からまた出張に行くとって。また佐世保に』



また出張?

明日は田代先輩が帰ってくるのに。

できれば夕方の召集に明日美も連れていきたかった。



『明日美ちゃん出張に行く前に友也と話したかったんじゃなかと?』



せっかく明日美から接触をはかろうとしてくれたのに。

ああ、俺はこんなところで何やってるんだ。



「そんで、明日美は何時に行くって?俺、何時までに帰ればよかと?」



『そがんことまで知んもんね!気になるなら自分で聞けばよかやろ。言うとくけど明日美ちゃんば泣かしたら許さんばい。じゃあ宿泊学習の予行練習頑張ってくださいね、御子柴先生。おやすみなさいませ』



なんなんだ、今のは。

突然機嫌を損ねたように言いたいことまくし立てて、ガチャッと切られてしまった。

俺から連絡できるならとっくにしてるに決まってる。

だけど俺と青柳さんの契約も明日の夕方には解消されるだろう。

そうでないと困る。



明日は理由を作って早く帰れるように交渉してみよう。

とりあえず風呂に入ってから、江川先生に相談だ。

風呂場に向かおうとした俺を引き留めたのは、再度鳴り出した携帯の着信音。



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