いつも、ずっと。
『フレスポのファミレスに夕方四時』



フレスポなら家から近いから、急がなくていい。

なんでフレスポにしたんだろう?

あのファミレスは多分明日美が青柳さんと会っていた場所だ。

なにか意味があるのだろうか。






約束の時間より十分早くファミレスに着いたけど、田代先輩と青柳さんはもうとっくに来て待ち構えていた。



「お待たせしてすみません。……あれ、もうひとりは……」



確か今日の参加人数は四人だと聞いていた。

まだこの場には三人しかいない。

 


「実はサプライズで生田さんにも来てもらいたかったとけど、さっきから電話の繋がらんらしかっさ。御子柴、生田さんのこと何か知らんか?」



「明日美だったら福岡に出張ですよ。さっき駅まで見送りに行ってきたところです」



何がサプライズだ。

誰のせいであんな別れ方になったと思ってるんだ。



……いいや、違うな。

先輩のせいじゃないだろ。

全部俺が至らなかったせいだ。



「御子柴くん、私のワガママで迷惑かけてしもうて本当にごめんなさい。明日美と今日会ったとなら、私のこと何か言いよらんかった?」



「別に、なんも聞いとらんけど」



「そっか……怒っとるとやろうか。私が約束ばすっぽかしたけん」



すっぽかしたって?

どういうことだ。

確か明日美は昨日青柳さんと電話で話したと言っていた。

今日のこの集まりのことを聞き出していたんだし。



「御子柴くん、私ね昨日明日美から電話かかってきて嬉しかった。私が悩んどる時に明日美の声ば聞いて、頼ってしもうたと。今日、明日美に会って色々話したかったとに。今朝、ここで待ち合わせしたとに私が来られんごとなって会えんかった。貧血で倒れて病院に連れ込まれたけん」



すっぽかしたって、そういうことか。

携帯には明日美からの着信があったようだけど、青柳さんは病院で点滴をうけたり処置を施されていたから、しばらくは身動きがとれなかったらしい。



「それで体調は?そういえば少し痩せたような気のするけど」



青柳さんと会うのはあのダブルデート以来だ。

明日美には青柳さんと付き合うフリをしながら、実際はまったく連絡もしてなかった。

連絡先すら知らないし、必要もなかったし。



「あ……。どうしようテツくん」



「あのな御子柴。未来は………妊娠しとる。俺の子どもば」



なんだって?




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