いつも、ずっと。
先輩たちを送っていった後、自宅に帰る前に隣の部屋のチャイムを押した。
「はーい。……あら、友也くん」
「どうも、お久しぶりです。ちょっとお邪魔してもよかですか」
こうやって明日美がいない生田家にやってきたのは、高一の秋以来のこと。
約十年ぶりになるのか。
「友也、来たか」
「おじちゃんとおばちゃんに話したかことのあるとですけど」
まるで俺が来ることを予測していたかのような、落ち着き払った態度で迎えられた。
そういえば何も考えず突撃したけど、夕食時じゃないか。
それにしても食事の支度とかしてなさそうだけど。
「おばちゃん、こがん時間に来てすみません。ごはん食べる時間じゃ」
「あ、大丈夫やけん心配せんで。今日は親戚の結婚式でね、大村まで行っとったとよ。ご馳走ば食べてきたけん今はまだ食べんでよかと。後で軽くなんかつまむけん」
食事の邪魔にならず良かったけど、いざ話すとなると緊張する。
ここまで来たんだし、もう覚悟を決めるしかない。
「今日、明日美ば駅まで送って来ました。出張って聞いたけん。佐世保、やったですか?」
ビクッとしたおばちゃん。
「母ちゃんから佐世保に出張って聞いたけど、実は俺知ってます。本当は福岡に行ったこと」
「えっ!明日美が自分から言うた?」
本当は明日美の口から聞きたかったけど、嘘をつかせたのは俺なんだろうし。
「残念ながら、明日美からじゃなか。情報はとある消息筋からで……」
「ごめんね友也くん。明日美から福岡に行くこと口止めされとったと。そいとに御子柴さんと喋りよったらついうっかり出張のことば言うてしもうてね。福岡ってことだけは言われんけんどうしようかなと思ったけど『また佐世保に行くとやろ』って言われて、なんとなく否定できずにおったとさ」
やっぱりな。
親同士が仲がいいから、そこから俺に情報が漏れると思って口止めしたんだろう。
明日美は俺に黙って福岡へ行ってしまった。
俺はもう明日美に必要とされることはないのだろうか。
「友也、明日美は俺たちには詳しかことは何も話さんかったぞ。ただ、佐世保に出張する時に『友也と本当は付き合ってなかった』とだけ。そうやったよな?」
おばちゃんは、おじちゃんから同意を求められて深く頷いた。
「そうよ。『嘘ついてごめんね』って」
「はーい。……あら、友也くん」
「どうも、お久しぶりです。ちょっとお邪魔してもよかですか」
こうやって明日美がいない生田家にやってきたのは、高一の秋以来のこと。
約十年ぶりになるのか。
「友也、来たか」
「おじちゃんとおばちゃんに話したかことのあるとですけど」
まるで俺が来ることを予測していたかのような、落ち着き払った態度で迎えられた。
そういえば何も考えず突撃したけど、夕食時じゃないか。
それにしても食事の支度とかしてなさそうだけど。
「おばちゃん、こがん時間に来てすみません。ごはん食べる時間じゃ」
「あ、大丈夫やけん心配せんで。今日は親戚の結婚式でね、大村まで行っとったとよ。ご馳走ば食べてきたけん今はまだ食べんでよかと。後で軽くなんかつまむけん」
食事の邪魔にならず良かったけど、いざ話すとなると緊張する。
ここまで来たんだし、もう覚悟を決めるしかない。
「今日、明日美ば駅まで送って来ました。出張って聞いたけん。佐世保、やったですか?」
ビクッとしたおばちゃん。
「母ちゃんから佐世保に出張って聞いたけど、実は俺知ってます。本当は福岡に行ったこと」
「えっ!明日美が自分から言うた?」
本当は明日美の口から聞きたかったけど、嘘をつかせたのは俺なんだろうし。
「残念ながら、明日美からじゃなか。情報はとある消息筋からで……」
「ごめんね友也くん。明日美から福岡に行くこと口止めされとったと。そいとに御子柴さんと喋りよったらついうっかり出張のことば言うてしもうてね。福岡ってことだけは言われんけんどうしようかなと思ったけど『また佐世保に行くとやろ』って言われて、なんとなく否定できずにおったとさ」
やっぱりな。
親同士が仲がいいから、そこから俺に情報が漏れると思って口止めしたんだろう。
明日美は俺に黙って福岡へ行ってしまった。
俺はもう明日美に必要とされることはないのだろうか。
「友也、明日美は俺たちには詳しかことは何も話さんかったぞ。ただ、佐世保に出張する時に『友也と本当は付き合ってなかった』とだけ。そうやったよな?」
おばちゃんは、おじちゃんから同意を求められて深く頷いた。
「そうよ。『嘘ついてごめんね』って」