いつも、ずっと。
今日は家に誰もいないし、話をするならリビングでと思ったけど。



「落ち着かんけん友也の部屋がよかとけど……」



「そうたいな。じゃ、俺の部屋に行こう」



リビングから俺の部屋へ移動。

明日美が来るときは大抵親がいるから、こんな二人きりの空間は珍しい。



「まずは明日美に謝らんばいけん。ダブルデートから約二ヶ月の間、明日美のことば騙しとった。そのことで明日美のことば傷付けてしもうて、本当に悪かったと思うとる。俺が男としてしっかりしとけば、こがんことにはならんかったとに。全部、俺が悪か。今更何ば言うても許してもらえんかもしれんけど、もう二度と明日美ば悲しませることはせんって誓う。だけん俺にチャンスばくれんか?」



小さいテーブルを挟んで向かい合っている、俺と明日美。

明日美は目を逸らすことなく、俺を真っ直ぐに見ている。



「未来から脅されとったって本当?友也が私に隠しとることのあって、それば未来に知られたらしかけど。その秘密ば守るために、未来と付き合うフリばしたとやろ。私に嘘ついてまで守りたかった秘密って、なん?」



どうしてそれを知ってるんだ……明日美。



「情報源が誰かは大体想像つくけど。俺が青柳さんに脅されとったとは本当けど、それば説明するとはもうちょっと待って。そこは俺にとって一番大事かけん、最後にさせてくれんね。そがん大事かことばなんで青柳さんに言うてしもうたかっていうと、明日美と俺の関係に要らん口出しされて仕方なく」



青柳さんから言われたことがきっかけだった。



『明日美のこと本当に好きなの!?明日美から聞いたよ、御子柴くんと……まだだって』



どうしてそんなことを青柳さんに突っ込まれないといけないんだ?

自分でも恥ずかしいくらいに狼狽えてしまって、俺の大事な人生プランをぶっちゃけてしまった。

俺って本当にダメな奴だな。

明日美のことしか考えてないからこうなったんだ。

周りの人間のことなんて視野に入れてなかった。



「そいで結局俺たちが本当は付き合っとらんかったこともバラす羽目になって。青柳さんは明日美から嘘つかれたことにショック受けとった」



明日美は青柳さんのことを思い出したのか、ちょっと寂しげな表情になった。



「友也、未来から聞いた?中学生の時の話。私が未来ば裏切ったこと…………」



裏切った?



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