いつも、ずっと。
「明日美は青柳さんと同じ中学に行くって約束しとったとやろ。俺はおばちゃんがうちに来た時に母ちゃんと話しよるとば聞いたけんが、明日美が自分で俺と同じ中学に決めたってことば知っとったっさ」



「ええっ?友也、それもしかして未来に言うた?」



驚きと落胆が入り交じったような眼差しで、俺を見つめる明日美。

俺が青柳さんに余計なことを言ってしまった。

あの時、冷静な判断が出来ていなかったことが今更ながら悔やまれて仕方ない。

青柳さんを馬鹿げた作戦へと駆り立てたのは、俺の不甲斐なさだったのかも。



「言うたよ。要らんことして、ごめん」



もう明日美に嘘はつきたくない。

自分の至らなさを認め、誠意を見せるしかない。



「私、そのこと未来にはずっと言わずにおるつもりやった。大袈裟かもしれんけど、墓場まで持っていくつもりやったし。だって本当のことば言えば未来のこと傷つけると思ったけん。嘘も時には優しさかなって思って。けど、やっぱり嘘はいかんよね。私だって未来と友也の嘘で……」



傷ついたよな、明日美。

その傷を癒すことは出来るだろうか。



「俺は明日美と同じ中学で嬉しかったな」



「友也…………」



ありきたりだけど、俺の素直な気持ちを伝える。

明日美は青柳さんとの約束を破ってでも、俺と一緒の中学が良かったんだろう?



「青柳さんは明日美のことば羨ましかって言いよった。だけんちょっと仕返ししたくなったって。自分が嘘つかれてショックやったけん、同じことしたかったとかも。俺と付き合うフリとか。なんとか回避したかったけど、俺の力不足で結局は青柳さんに従わざるをえんかった。何回謝っても足りんけど、本当に悪かった。ごめんな、明日美」



心からの反省の気持ちを込めて、頭を下げた。



明日美と離れていた二ヶ月の間、俺は自分を見失っていた。

自分が自分でないような居心地の悪さを常に感じながら、暗闇でもがき続けていた。

明日美がそばにいてくれないと、俺は俺でいられない。

もう、二度と離したくない。



「前にも聞いたけど、もう一回聞きたかことのあると。あのダブルデートのあと、友也から連絡してくれんかったとはなんで?」



確かに聞かれたな。

あの時は、インフルのせいにして終わるつもりだったけど……。

明日美に追及され『面倒だから』とウソぶいたのだった。




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