目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
私は一瞬クラっとした。
体調不良じゃない。
このあり得ない状況に、頭がオーバーヒートを起こしていたからだ。
もしかしたら、頭から煙も出てたかもしれない……。
妻の為に、サプライズで別荘!?
どれだけ愛されてるの、私!?
いや本当は人違いじゃないの!?
……ちょっとわけがわからない!

「百合!?大丈夫か!?」

蓮司さんが急いで私の肩を掴んだ。
でも、今の私にそれは逆効果です。

「う、うんうん!平気。少しふらっとしただけ。疲れたのかな?大丈夫よ?」

「そうは見えないな……」

ええ、そうですね、あなたのせいでね……とは言えずひたすら「大丈夫」を繰り返す私。
それを見て、漸く彼は肩を掴む手を弛めた。

「無理しないでくれよ?」

「は、はぃ……わかりました」

言質を取ると、彼は車を降りて助手席に回り、私を優しく下ろす。
そして自分は、後ろのトランクに回り込み大きな保冷バックを取り出して肩に担いだ。
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