目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
すると突然キッチンに、お湯が沸いたことを知らせる軽快な音が響いた。
驚いた私は、ブランド様を落としそうになり慌てて抱え込む。
その様子を後ろで見ていた蓮司さんのクスッという乾いた笑いに少し……ほんの少しムカついた。
いや、ムカついている場合じゃない!
と、直ぐ様、ブランド様ティーポットとティーカップにお湯を注ぎ温める。
程よく温まったら中のお湯を捨て、2人分の茶葉をポットに入れて、またお湯を注いで蒸らす。
……はい、これで準備オッケー!

「蓮司さん、ケーキの方、リビングに運んでくれる?」

「もう運んだよ?あとそれも持ってくんだろ?任せて」

と、ポットとカップが載ったトレイを見て笑う。
蓮司さんは、どんくさい私の思考などまるわかりらしい。
「以心伝心」の四字熟語を身をもって味わいながら、私は軽く頷いた。
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