目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
「それは?」

あまりに彼に似合わないバックだったから、気になって聞いてしまった。
それは、子供の運動会か何かで主婦が持っていきそうな物だったから。
私の質問に彼はとても楽しそうに答えた。

「これ?食材だよ。取りあえず三日分くらいはある。足りなくなったらまた買いに行くから心配ないよ?」

「食材ね。そっか、じゃあ何か作るわね」

「何言ってるんだ?君は何もしちゃ駄目だからな」

「はぁ!?」

疑問の声は、思ったよりも大きな叫びになった。
私がしなくて一体誰がするんだろう?
幸いなことに料理のレシピなど生活に必要な一般知識は覚えている。
作れと言われれば作りますよ?
と、言おうとして彼に先を越された。

「俺が作るからな」

「……え!料理出来るの?」

私が目を丸くしたのを見て、彼は得意気になった。

「もちろん。料理は好きな方なんだよ?器用だし」

「へぇ。素敵!それって私も知ってた?」

その質問に何故か彼は少し俯き、悲しそうに答えた。
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