目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
「素晴らしい桃の存在感!そして、主役を活かす名バイプレイヤーの生クリーム……この絶妙なマリアージュ……堪らない……」

「百合?……」

蓮司さんが、唖然としてこっちを見ている……。
どうかしたのかな?と思いハッとした。
今、心の中で思ったこと……ひょっとして言葉に出していた!?
まさか……と蓮司さんの様子を窺ってみると、彼は笑い出す5秒前だ……。
涼しげな目元が細くなり、口元が弛むと、スプーンを握りしめたまま、突っ伏してお腹を抱えた。

「ゆ、百合……百合……ごめん。可愛すぎ……可愛すぎる……絶妙なマリアージュ……ぶっ」

酷すぎない?
絶妙なマリアージュのどこが悪いの!?
もう、開き直るしかない私はツンと口を尖らせた。

「いいじゃない!表現の自由です!……まぁ、心の声がでちゃうほど、美味しかったということかな」

「うん。可愛い表現だと思うよ。百合にそんな才能があったなんて驚きだけどね」
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