目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
蓮司さんはやっと笑うのをやめ、ふぅと一息ついた。
それにしても、こんな食い道楽な食レポが可愛いなんて、イケメンなのに趣味趣向が変わってるんじゃない?
いや、決して私が変わり者だとは思わないけど……え?そうなのかな?
密かに葛藤を繰り広げる私の前で、蓮司さんはまたニコニコと恐ろしいことを言い始めた。

「百合マイスターの俺としては、どんな百合もとても可愛いし、とても貴重で大切だよ。さっきのは百合語録として後世に伝えよう」

「やめて下さい」

どうか今世だけで勘弁して。
誰一人として喜ばないよ、と続けて言ったけど、蓮司さんの耳には届いていない。
どうやらさっきの食レポをスマホに打ち込み、忘れないように記録しているようだった。
そして、なにやらブツブツと言っては、クスッと笑うのを繰り返している。

……もう好きにして。
呆れた私はパクパクと桃のショートケーキを口に放り込んだ。
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