目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
それから、蓮司さんの桃のジュレを少し貰い、私のショートケーキもあげたりしているうちに、紅茶もいい感じに飲み頃になった。
カップにそそいでまず香りを堪能する。
それからゆっくり一口含むと、甘かった口内が仄かな苦味に一掃された。
そして、私の食欲も更に増す。

「ブルーベリーチーズケーキもいっときますか?」

「……俺はもういいよ」

「蓮司さん、甘いものあんまり好きじゃなかったですもんね?」

と言ってから、ふと気付く。
どうして知っていたのか?と。
それは蓮司さんも同じ様に感じたらしく、身を乗り出して尋ねてきた。

「百合!?思い出したのか!?」

「……いえ……今のはなんとなくそうじゃなかったかな?っていうだけで……」
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