目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
完全に思い出してはいない。
でも、思い出しつつあることは間違いない。
ギャラリーで父を思い出してから、産直市で昔の蓮司さんを見て、今彼の好みを思い出した。
思い出した、というよりはあやふやで不確かなものだけど、それは、私と蓮司さんを繋ぐものだということは確かだ。
「あのね、今まで見えてなかったものが少しずつ、点になって線で繋がれていく……そんな感じがするの」
「点と……線……」
「うん。上手く言えなくてごめん。でも、この調子なら早く思い出せそうよ?」
笑って言うと、蓮司さんも微笑んだ。
でも、その笑顔に少しだけ翳りが混じっていたのを私は見逃さなかった。
忘れてしまっているとはいえ、その微妙な違和感がわかるなんて、やっぱり夫婦だったのは間違いないんだと納得する。
だけど、それよりも翳りの正体の方が気になった。
蓮司さんは、私に思い出して欲しいと本当に思っているのだろうか?
今までの様子から、それを望んではいるようだけど、どうも気にかかる。
もしかしたら、思い出して欲しいことの中に、何か……辛いことか悲しいことが含まれているんじゃないのか?
だから、あんな複雑な表情を……。
でも、思い出しつつあることは間違いない。
ギャラリーで父を思い出してから、産直市で昔の蓮司さんを見て、今彼の好みを思い出した。
思い出した、というよりはあやふやで不確かなものだけど、それは、私と蓮司さんを繋ぐものだということは確かだ。
「あのね、今まで見えてなかったものが少しずつ、点になって線で繋がれていく……そんな感じがするの」
「点と……線……」
「うん。上手く言えなくてごめん。でも、この調子なら早く思い出せそうよ?」
笑って言うと、蓮司さんも微笑んだ。
でも、その笑顔に少しだけ翳りが混じっていたのを私は見逃さなかった。
忘れてしまっているとはいえ、その微妙な違和感がわかるなんて、やっぱり夫婦だったのは間違いないんだと納得する。
だけど、それよりも翳りの正体の方が気になった。
蓮司さんは、私に思い出して欲しいと本当に思っているのだろうか?
今までの様子から、それを望んではいるようだけど、どうも気にかかる。
もしかしたら、思い出して欲しいことの中に、何か……辛いことか悲しいことが含まれているんじゃないのか?
だから、あんな複雑な表情を……。