目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。

蓮司さんに浴衣を着せ、自分も浴衣に袖を通すと、私達は２階寝室へと移動する。
彼は私の体調を気遣って山頂まで行くのを中止した。
でも、どうしても見たいという私の為に、寝室のバルコニーで花火を見ることにしたのだ。

寝室へ行くついでに、柾さんの絵画と別に渡されたモノを持って上がった。
渡されたモノ、それは一枚のプラスチックプレートだった。
『サントリーニ島の午後』というタイトルが彫られていて、あとは、旅行の日だと思われる日付がある。
蓮司さんは、寝室のぽっかりと空いた不自然なスペースに絵画を掛けた。
予め釘を打ってあったのだろう。
絵画は壁に簡単に収まった。
プレートの位置にも専用のビスが打ち込まれていて、蓮司さんはプラスドライバーを使い器用にはめていっている。