目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
外観と同じく真っ白い玄関を抜けると、広いロビーがあった。
そこはもうまるでドラマで見るような海外セレブの豪邸そのもの。
調度品もどこかのブランドっぽくて、コーヒーのシミなんか迂闊につけられない雰囲気を纏っている。

「こっちがキッチン、でこっちがリビング……」

目を丸くする私に、彼は丁寧に案内をしてくれた。
一階を案内し終わると、リビングの螺旋階段を上がり二階へ移動する。
そこはまるで5つ星ホテルのような内装になっており、その中の扉の一つを開けると彼が振り返った。

「ここが俺達の寝室……暫くは君が一人で使うといいよ」

え、じゃあ、あなたは?
と言いかけて止めた。
こんな豪邸なんだから、寝室なんて山程あるに違いない。

「ありがとう。因みに、れ、蓮司さんはどの部屋を使うの?」

うぅ、名前、まだ言い慣れないな。
モゴモゴとした私の小さい声に、彼はクスクスと笑いながら答えた。

「俺は向かいの部屋。二階には書斎が一つ、他の部屋は客間になっていて、突き当たりに洗面所とシャワールームがある。三階も同じ造りだ」

「うん、わかった」

「何かあったらいつでも呼んでくれ。すぐに駆けつけるから」

イケメンがイケてることを言うと、ほんとに洒落にならない。
……ということを私は今痛感している。
爽やかな笑顔、整った容姿、ドアの上枠にぶつけそうなくらいの高い背。
非の打ち所のない彼に、惚れてしまいそうな勢いでドキドキしていた。
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