目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
ドォーーーン!!

大輪の花が咲いて、流れて、落ちる。
そして消えて余韻が残る。

ああ、まるで……。

『人の一生に似てる』

そう言ったのは父だったと、不意に思い出した。
闘病中、病院の窓から見えた花火に、ポツリと呟いた言葉。
その時私は、父が儚んで言ったのかと思っていた。
だけど、それが別の意味だったと、誰かによって教えられたのだ。
気付いたのはいつだっただろう。
誰といて気付いたんだろう。

ドォーーーン!

また大きく花が咲く。
きれいだね、と蓮司さんを見上げた私は、そこに答えがあることを知った。
きっと教えてくれたのは彼。
記憶にはないけど、私は確信している。
大きくて。優しくて。強くて。
微笑む彼は夜空を飾る花火よりも、今、私の心をとらえている。

「そうだね」

その一言を聞くと、私はまた花火を眺めた。
頬が染まるのは、きっと花火のせい。
跳ねる心も音のせい。
そう言い聞かせて、気持ちを落ち着かせていた。
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