目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
それは考えたくないことだった。
ある程度好意は持たれているはず。
そう思っていたからこそのプロポーズだったんだが。
もし、違うなら……。
死刑執行を待つ囚人の気分とはこんなものか?
俺は生まれて初めて恐怖を感じた。
ただ、今は、百合が次に口を開くのを待っていることしか出来ないのだ。

「そんなことないです!一色さんには感謝もしていますし……」

ほっとして背中に汗をかいた。
だが、まだ首の皮一枚繋がっただけだ。

「……じゃあ……好き?」

「……そうですね、好き……です」

好き……良し!!
流れは悪くない!
もっと慎重に言葉を選んで、百合の気持ちを……
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