目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
いや、惚れるって……。
夫に……惚れるってどうなの、あ、普通なのか。
そもそも、惚れてないと結婚しないわよね?

「百合?どうした?顔が赤いよ?もしかして、熱か!?」

慌てて寄ってこようとする蓮司さんを私は必死で止めた。

「違う!!違うからっ!これは……そう!少し暑くて?……ええと、ちょっと着替えるね?」

「本当に大丈夫なのか?」

「うんうん。大丈夫大丈夫。じゃあ、あとでまた!」

言うや否や、彼の顔も見ず寝室のドアを閉めた。
ちょっと感じ悪かったかな……と、少し後悔しつつ、用意してもらった衣類のトランクを開ける。
そこには、やはりというかどれもこれもブランド物の服が何故かとても綺麗な状態で入れられていた。
これ、新品じゃないでしょうね?
と、勘ぐりつつ、ノースリーブのワンピースを摘まみ上げた。
それはオフホワイトで手触りも良く、更に品質も良さそうだ。

「ふふっ、あなた、お幾ら万円??」

なんて冗談をいいながら、4畳はあろうかというウォークインクローゼットに歩み寄る。
そして、備え付けられた鏡の前で合わせてみた。
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