目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
「ああ、悪い。また頬が緩んでた?気を付けているんだけどな……ダメだ!百合が可愛くて!」

「まぁ、それは同意致します。確かに奥様は素敵な方ですから」

三国さんは力強く頷き、その後ろで浅岡さんも続けて言った。

「そうですねぇ。何て言うか癒し系?私が男でも即結婚したくなるような可愛い方ですから」

基本百合は、会社には来ないし姿も見せない。
夫人同伴が基本の海外のパーティー等は参加するが、本人は出来ることなら表には出たくないようだ。
その為、実際の彼女を知っているのは俺の近くの三国さんや、浅岡さん等の秘書しかいない。
三国さんは、マンションの方に書類を取りに行ったりすることがあり、結構百合と会っている。
それに付いていく浅岡さんも同様で、年も近いし親近感があるんだろう。
挙式の衣装の試着にも同行したし、仕事先への挨拶状の打ち合わせも3人でしていた。

「そうだろ?百合ほどの女性はなかなかいないからな」

俺が得意気に言うと、三国さんがそれに食いついた。
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