目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
「私、社長の女性を見る目を信じてはいませんでしたが、今回に限っては大正解だと思います」

「ですね。前回が酷かったので!」

浅岡さんは、ムスッとしながら、手元の資料をパンッと叩いた。
彼女達が言いたいのは、笙子のことだなとすぐにわかった。
特に浅岡さんは、手酷く苛められた過去があるし、三国さんが俺に進言するまでずっと耐え続けていたのだ。

あのベイサイドホテルでの別れから、笙子の噂は全く聞いてないし、姿も見ていない。
専務とは距離を置いている為、仕事以外では特に話もしないし、その後、彼らの関係がどうなったかなんて興味もない。
ただ、あまりに忽然と姿を消したのが少し不気味で気にはなっていた。

「申し訳なかったね。確かにそうだ。俺は、何も見えていなかったんだよ」

そう言うと三国さんは静かに微笑み、浅岡さんはおおらかに笑った。

「ですが、もう終わったことですよ。今は社長と奥様の幸せを祈るばかりです」

「私達、お二人を支えられることをとても嬉しく思ってます!」

三国さんは、しっかり者の姉のように。
浅岡さんは、物怖じしない姪っ子のように。
それぞれ、タイプは違うが俺と百合の幸せを祈ってくれている。
それをありがたく思いながら、朝のミーティングを開始した。
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