目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
「え……と?ごめんなさい、私……」

名前を呼ばれたから、きっと会ったことがあるのだと思う。
でも、誰だろう?思い出せない。

「いいよ。知ってるから。災難だったね」

男はこちらに来ようとして立ち上がった。
その体格の良さに私は目を丸くした。
蓮司さんも背が高くて体格がいいけど、目の前の男は更に幅がある。
学生時代、ラグビーかアメフトでもやっていたような体格だった。
その圧倒的な存在感に驚いていると、隣にいた蓮司さんが言った。

「こいつは、二宮。面倒くさいから名前は忘れたままでいい。顔も怖いから忘れとけばいい」

「おい一色。怖いってどういうことだ!?どちらかというとオレは《正義の味方》なんだが?」

男はおどけて言った。
正義の味方?ってどういうこと?
私は蓮司さんの後ろで首を傾げた。
< 204 / 285 >

この作品をシェア

pagetop