目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
二宮さんは、優しい笑顔から一転、鋭い目付きになった。
それは蓮司さんも同じで、２人は少し怖い顔をして顔を見合わせている。
そんな中、二宮さんの言葉に私は困惑していた。
悪者は他にいる、という言葉に。
それではまるで、記憶をなくしたことが誰かのせいだと言っているみたいだ。
それに、さっきの正義の味方という言葉は、一体どういう意味だろう。
二宮さんは何者だろう。
沸々と沸き上がる好奇心は、遂に私の口から溢れでた。

「あの、二宮さんのお仕事は？」

「えっ！？」

二宮さんは大きな体をビクッと震わせて大袈裟に驚き、蓮司さんを見た。
目でものを言うとは良く言うけど、二宮さんも目で何かを訴え掛けている。
それは簡単に想像出来た。
言ってもいいのか？と問いかけているのだ。
蓮司さんが難しい顔をして首をひねり、暫くして頷くのを見て、二宮さんは私に言った。

「百合ちゃん、オレは……公務員、警察官をしている」

「警察官……って交番とかの？」

「……う、うん。そう」

言われてみれば、この体格の良さは警察官っぽい。
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