目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
ある時、父のゼミの人達が家に遊びに来た。
どうも、父の授業は人気があるらしく、ゼミも大人気で入るのは難関らしい……と言うのは本人の談で、本当かどうかはわからない。
だけど、父が皆に好かれているというのは単純に嬉しかった。
ゼミ生は全部で20人、男性が多く女性は少ない。
この日はその中でも父と仲の良い10人程が遊びに来たのだ。
私も父と一緒に玄関で応対した。
いろんな人がいるんだな、と内心ドキドキしながら目はあるカップルを捉えていた。
左側にいた背の高い男性とそれに寄り添うような美しい女性。
初見でも、ああ、付き合ってるんだなとわかる雰囲気を出している。
ただ、2人には少し温度差があるようには見えた。
女性の方が夢中で、男性はそうでもない?……そう見えた私は良く男性を観察した。
見映えのする身長に、ふわっとした柔らかそうな髪。
だけど、そのふわりとした髪の隙間から覗く目は涼しげで切れ長。
まずそのギャップに目を奪われた。
そしてやや冷酷な印象に見えるのが、たぶん女性にモテる要因なんだろうな、と勝手に考えた。
またスッキリと整えられた髪や、色味の少ない服、それらを見ると、合理的な人なのではないかとも推察していた。
寄り添う女性は、艶やかな茶色のウェーブの長い髪で、動く度にフローラル系の香りが漂う。
お化粧もバッチリで、ぷっくらとした口元がとても官能的な美人だ。
こんな美人もそうそうお目にかかれない。
5歳違えばこんなにも違うものなのかと、私は少し悲しくなった。
いや、年だけじゃない。
これはもう持って生まれたものである。
ちんちくりんで、童顔な自分にはどうあがいてもこうなるのは無理だ、と心の中でため息をついた。
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