目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
彼に対する気持ちに名前が付いたのは、その年の暑い夏の一夜だった。
一色さんや二宮さんとその他何人か「いつものメンバー」と私達親子が呼んでいる面々がその夜も押し掛けてきた。
そして、私もいつものようにおもてなしし、軽くお酒のあてなどを作る。
その日は、ちょうどスーパーで美味しそうなスイカを見つけていたので、切り分けて出すことにした。
美味しいスイカを見つけるには何点かポイントがあって、それを全てクリアするのは結構難しい。
スーパーで見るスイカの中で二つくらいあればいい方だ。
今日は幸運にもその完璧スイカに出会えて、私の機嫌は頗る良かった。
皆が来てから盥に水を張り、氷で冷やしていたスイカは既に食べ頃になっている。
冷えたスイカを取り出し、人数分切り分けて、さて……運ぼうか、と思ったところで突然後ろから声がかかった。
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