目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
光に向かって歩く蓮司さんは、子供が駆け出していく時の好奇心の塊のような顔をしていた。

「この先の景色が最高なんだ!」

と言って急かす姿に、私は胸のドキドキが押さえられないでいる。
スーツ姿じゃなく、ラフなシャツにジーンズなんだけど、それでも彼は神々しいくらいに素敵だった。

早足になる蓮司さんに、歩幅を広めて必死で付いていく。
すると目の前には信じられない絶景が広がっていた。

「わぁ……」

「な、すごいだろ?」

もう言葉も出なかった。
どこまでも広がる地平線、昼の眩しい日差しに煌めく水面。
時折、おおきく波打つ場所に出来る白くなだらかなカーブ。
両手を広げるとまるで海を抱え込んでいる、そんな錯覚まで起こしそうな美しい景色だった。
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