目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。

その日の午後、昨日と同じ時間が来て、私は電話の前に正座していた。
何かをして気を紛らわせようかと思ったけど何も手につかず、ならいっそのこと精神統一しながら待っていようと考えたのだ。
人から見れば、これはかなりおかしい構図だと思う。
決戦の前の武士みたいかな？なんて、自分を揶揄してみたけど、よく考えてみればその通りなのだ。
私は、これから決戦に行く。
先の見えない、勝ち目のない戦いかもしれない。
つまりは、戦いに赴く武士と変わりなかった。

張り詰めた緊張の中、空間を切り裂くように電話が鳴った。
時間は昨日とほぼ一緒。
私は二回コールの後、勢いよく電話をとった。

「はい」

「……奥様？こんにちは。もうわかっていると思うけど、相島です」

電話向こうの彼女の声も、若干緊張しているように聞こえた。