目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
「ええ。わかります。それで、待ち合わせ場所は?」
「……その前に。言っておくけど、誰かと一緒に来てはダメよ。一人で来て」
「……はい」
どのみちそのつもりよ。
そうじゃないと、データを他社に渡すんでしょう?と、言いかけてやめる。
「いいわ。じゃあ、待ち合わせ場所……港の近くにホテルがあるわよね?」
「あ。はい。ベイサイドホテル、でした?」
「そう。そのホテルの前に歩道橋があるの知ってる?」
ベイサイドホテル前の歩道橋?
聞かれて咄嗟に思い浮かべてみることにした。
私の頭の中には、一度だけ行ったことのあるベイサイドホテルの簡単な地図が再現された。
ホテル正面には大きなロータリーがあって、そこは車専用になっている。
正面入口から入るには、人は歩道橋を通らなくてはいけない。
その歩道橋を渡った記憶を思い出し彼女に言った。
「知ってます。その歩道橋で、会うんですか?」
「ええ。そこは案外人が少ないの。皆車で正面に回るから」
追われてるから、人目につきたくない、ということなのかな?
でも、人目を気にするということは、もう彼女がしたということはバレているんだろうか?
「奥様?聞いてる?」
私の思考をイライラした声が遮った。
「え、はい……で、時間は?」
「今から一時間後、4時に歩道橋の上で」
「わかりました」
「……じゃあね」
最後に一言言うと、彼女はあっさりと電話を切った。
「……その前に。言っておくけど、誰かと一緒に来てはダメよ。一人で来て」
「……はい」
どのみちそのつもりよ。
そうじゃないと、データを他社に渡すんでしょう?と、言いかけてやめる。
「いいわ。じゃあ、待ち合わせ場所……港の近くにホテルがあるわよね?」
「あ。はい。ベイサイドホテル、でした?」
「そう。そのホテルの前に歩道橋があるの知ってる?」
ベイサイドホテル前の歩道橋?
聞かれて咄嗟に思い浮かべてみることにした。
私の頭の中には、一度だけ行ったことのあるベイサイドホテルの簡単な地図が再現された。
ホテル正面には大きなロータリーがあって、そこは車専用になっている。
正面入口から入るには、人は歩道橋を通らなくてはいけない。
その歩道橋を渡った記憶を思い出し彼女に言った。
「知ってます。その歩道橋で、会うんですか?」
「ええ。そこは案外人が少ないの。皆車で正面に回るから」
追われてるから、人目につきたくない、ということなのかな?
でも、人目を気にするということは、もう彼女がしたということはバレているんだろうか?
「奥様?聞いてる?」
私の思考をイライラした声が遮った。
「え、はい……で、時間は?」
「今から一時間後、4時に歩道橋の上で」
「わかりました」
「……じゃあね」
最後に一言言うと、彼女はあっさりと電話を切った。