目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
私はその封筒を胸に抱え、すっと立ち上がった。
もちろん、放り投げた人に文句を言うためだ。

「ちょっと、あいしまさん!?投げるなんて……」

振り向いた瞬間、何かが目の前にあった。
それは至近距離にあり、近すぎて全くピントが合わなかったけど、白いものとベージュの何かだ。
あ……これは……。
そう思った時、トンっと肩を押された。
ゆっくりと後ろに傾いていく体の後ろには階段がある。
いや!落ちるっ……!と、手を泳がせて掴もうとしても、掴める物が何もない。
やがて、ピントが合った時……私は見た。
空を切る掌の向こうに、白いシャツにベージュのカーディガンを着た綺麗な人が楽しそうに笑っていたのを。
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