目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。

「ああ……良かった……電話のところで倒れていたから……何かあったのかと……」

「ごめん。電話が鳴ったから……探して……出たの。そうしたら……」

そこで暫く間を開けた私に、蓮司さんが優しく問いかけた。

「そうしたら?」

「……あの人の声が聞こえて……思い出したの……全部」

「思い出したのか!?そうか……声って……相島……あの女の声だな?」

蓮司さんは、恐ろしい顔をしてその名を呼んだ。
彼から彼女のことを聞くのは初めてだったけど、元カノにもかかわらず、その言葉には憎しみが籠っている。
やっぱり、彼女が私に言ったことは嘘だったと内心ほっとしていた。

「まずは謝らせてくれ……俺のせいで、君を危険な目に合わせてしまった……すまない」

蓮司さんの顔には自分を責める後悔の表情が見える。
記憶がない時はわからなかったその思いが、今は手に取るようにわかった。
彼は傷付いている。
私がこうなったのは、自分のせいだとずっと後悔して、悩んで傷付いていたんだ。
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