目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
「良くはないよ……まぁ、データは大事だよ?新薬のデータなんて流出したら損失はデカいからね。でも、すぐにどうこういうことはない。適切なルートで取り返すことも可能だ。それに大切なデータにはいくつかダミーがある」

「ダミー?偽物!?」

「そうだよ。今回盗まれたのは、ダミーの方だ」

「え、じゃあ、私がしたことは……全然意味がなかったと……?」

私は……愕然とした。
相島笙子と渡り合って、殺されかけてまで手に入れたデータがダミー……。
そんなのあまりに自分が情けない。

「そうじゃない。例えダミーと言えど本物そっくりに出来ているから、それが表に出るのは不味いんだ」

「うん……」

「だから、それが帰ってきたことは良かったんだよ」
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