目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
「ううん……全部じゃない。だけど、絵の景色と思い出が呼び起こした……そんな感じなの……」

「そうか。だが、思い出せる方法がわかっただけでも十分だ」

蓮司さんが言うと、

「うん。面白い。視覚から呼び起こされる思い出と甦る記憶。うーん、それはまさに……僕の絵が素晴らしいということだよね!」

と、柾さんが胸を張る。
その様子が可笑しくて、私と蓮司さんは同時に破顔した。

「おい!笑うなよー!」

柾さんは、笑われたことが気に食わないみたいだ。
子供みたいね。

「悪い……相変わらずの自分大好き人間だな。お前のそう言うところが、信用出来るといつも思っているよ」

蓮司さんは笑いながら、柾さんの肩を小突いた。
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